『イクサガミ』は世界1位を取っていた——上半期レポートに出ないのは、山を越えたのが窓の外だから

このブログでは、何度もこう書いてきました。

「Netflixの上位100本に、日本語作品は1本も入っていない」

数字は正しいです。上半期のエンゲージメントレポートを全部数えて、日本語作品の最高位は107位『刃牙道』8,480万時間でした。100位の壁を越えた日本語作品はゼロでした。

ただ、その書き方には足りないものがありました。

『イクサガミ』は、Netflixの週間グローバルTOP10で世界1位を取っています。

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『イクサガミ』が週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で到達した順位

なぜ食い違うのか

答えは単純です。見ている窓が違います。

期間
上半期エンゲージメントレポート 2026年1月〜6月
『イクサガミ』の配信開始 2025年11月13日

配信から2週目、つまり2025年11月に世界1位を取っています。上半期レポートは2026年1月からです。いちばん見られた時期が、窓の外にあります。

順位表は、集計の窓で決まります。

同じことが逆側の端でも起きています。『エージェント・キム:リアクティベーティッド』は6月26日配信なので、1〜6月のレポートには5日ぶんしか入っていません。だから上半期の順位は低く出ます。窓の終わりにかかった例です。

『イクサガミ』はその逆です。窓が始まる前に山を越えていた作品は、レポートには小さくしか出ません。

半年に一度のレポートだけを見ていると、その半年の外で起きたことは見えない

窓の「真ん中」にいなくても勝てる、という反証

ここで自分の話を否定しておきます。「窓にどれだけ入ったかで順位が決まる」なら、1月に配信された作品がいちばん有利なはずです。半年まるごと数えてもらえるので。

ところが上半期のシリーズ3位は『鉄槌教師』で、配信は6月5日です。窓に入っているのは26日ぶんだけ。それで5億1,470万時間です。

作品 窓に入った日数 結果
鉄槌教師 26日 5億1,470万時間・世界3位
エージェント・キム 5日 2,300万時間・韓国新作20本中16位
イクサガミ 0日(山は窓の前) レポートには小さくしか出ない

つまり日数そのものが効くわけではありません。 効くのは「その日数の中に山が入っているか」です。26日でも山が丸ごと入っていれば3位を取れるし、5日しか入っていなければ低く出る。

窓の話は「長く入ったほうが得」ではなく、「山がどこにあるか」の話なんですよね。ここを取り違えると、配信時期の話がただの有利不利の話になってしまいます。

では、山を越えた時期はどこに載っているのか

ここで当然の疑問が出ます。「窓の外なら、その数字はどこかに載っているはずでは?」

そのとおりです。レポートは半年ごとに切れ目なく出ているので、窓を並べるとこうなります。

レポート 集計の窓 この記事に出てくる作品
2025年下半期 2025年7月〜12月 『イクサガミ』の山(11月)はここ
2026年上半期 2026年1月〜6月 『鉄槌教師』『刃牙道』/『エージェント・キム』は5日だけ
2027年初頭に出る次回 2026年7月〜12月 『エージェント・キム』の山/『ガス人間』/『SとX』

当ブログはまだ、2025年下半期のレポートを数え直していません。 上半期ぶんを全数集計しただけです。だから「上位100本に日本語作品ゼロ」と書いてきたのは、2026年1〜6月の話であって、日本語作品全体の話ではありませんでした。ここは正確に書き直すべきところです。

次にやることとして置いておきます。2025年下半期を同じやり方で数え直せば、『イクサガミ』が全体の何位だったかが分かります。 分かったら記事にします。

「上位100本に日本語作品ゼロ」は、2026年1〜6月に限った話。半年ずつ区切られた窓の1つにすぎない

世界1位の週の数字

数字を並べます。

1週目 2週目(11月17〜23日)
週間グローバル順位(非英語) 2位 1位
その週のビュー 720万
累計ビュー 1,340万
1位だった国と地域 11 9
TOP10に入った国と地域 86 88

1位を取った国には、日本のほかアメリカ、インド、インドネシア、タイ、ブラジル、カナダ、フランス、韓国が入っています。

岡田准一が主演・プロデューサー・アクションプランナーを兼ねた全6話。明治11年の京都を舞台に、292人が木札を奪い合うバトルロワイヤルです。アメリカの評論サイトRotten Tomatoesでは100%のスコアが付きました。

韓国の話題作と、同じ物差しで並べる

このブログで今まで扱ってきた韓国作品と、同じ単位で並べてみます。どれも週間グローバルTOP10(非英語)のビューです。

作品 その週のビュー TOP10入りした国と地域
エージェント・キム(世界1位の週) 910万
トングン(世界2位の週) 810万 69
イクサガミ(世界1位の週) 720万 88
イクサガミ88の国と地域でTOP10
トングン69の国と地域でTOP10

ビューでは韓国の2本が上です。ですが届いた国の数では、『イクサガミ』が上回っています。 88対69。

順位という物差しだと、この差は見えません。「1位」も「2位」も1つ違いに見えるだけで、何か国に届いたかは表に出てこない。国の数で見ると、日本の作品がいちばん広く届いていた週があったということになります。

「日本は弱い」で終わらせない

ここまでを整理します。

上半期レポートの数字は正しい。2026年1月から6月に限れば、日本語作品は上位100本に入っていません。1億時間を超えた作品も35本中ゼロでした。

でも、その半年の外を見ると景色が違います。

  • 2025年11月、『イクサガミ』は非英語シリーズで世界1位
  • 88の国と地域でTOP10。同じ物差しで比べた韓国の話題作より広い
  • Rotten Tomatoes 100%、北米の批評家賞にもノミネート

このブログの結論は変えません。日本の課題は「次の1本が続かないこと」です。『イクサガミ』の翌週、その位置を引き継ぐ日本の作品はありませんでした。韓国は5年で210本をTOP10に送り込み、ほぼ毎週1本が入り続けています。そこが違いです。

この「続かなさ」は、打率で見るとはっきりします。2026年上半期に配信された新作だけを取り出すと、こうでした。

新作の本数 1億時間を超えた本数
韓国語 20本 11本
日本語 35本 0本
韓国語11本(1億時間を超えた上半期の新作)
日本語0本(1億時間を超えた上半期の新作)

本数は日本のほうが多いんです。35本対20本。 それでも1億時間に届いた作品はゼロでした。韓国は出した20本の半分以上が届いています。

数を打っていないわけではない、ということです。打ってはいる。当たっていないだけで。

ただし、「日本の作品は世界で通用しない」とは言えません。 通用した1本が、実際にあります。

出せる1本はある。続かないだけ

1本当てても、全体はほとんど動かない

「続かないだけ」と書きましたが、これがどれくらい重い話なのかも数字で置いておきます。

上半期のシリーズ8,195本を、視聴時間の多い順に並べて、上位何本で全体の何%を占めるかを数えました。

上位 シリーズ視聴時間に占める割合
1本 1.2%
10本 6.7%
100本 24.5%
1,000本 68.1%
上位10本6.7%(シリーズ視聴時間に占める割合)
上位100本24.5%(シリーズ視聴時間に占める割合)
上位1000本68.1%(シリーズ視聴時間に占める割合)

世界一の1本でも、全体の1.2%です。 上位10本を全部足しても6.7%にしかなりません。数字の大半は、順位表に名前が出ない何千本かが稼いでいます。

だから「1本当てる」は、実は目標として弱いのです。効くのは、当たりを出し続けて母数のほうを増やすこと。 韓国が5年で210本をTOP10に送り込んだというのは、そういう意味の数字です。

世界1位でも全体の1.2%。1本の当たりでは景色は変わらない

まとめ

  • 『イクサガミ』は2025年11月、週間グローバルTOP10(非英語)で世界1位
  • その週720万ビュー、累計1,340万ビュー、88の国と地域でTOP10、9か国で1位
  • 上半期レポート(2026年1〜6月)に大きく出ないのは、山を越えたのが窓の外だから
  • 届いた国の数では、同じ物差しの韓国の話題作を上回っていた
  • 日本の課題は実力ではなく、次の1本が続かないこと
  • 「上位100本に日本語作品ゼロ」は2026年1〜6月に限った話。窓の外は数えていない
  • 世界1位でもシリーズ全体の1.2%。1本の当たりでは全体は動かない
  • 次にやるのは2025年下半期レポートの全数集計。『イクサガミ』が全体の何位だったかが出る

数字の出典

  • 世界1位・720万ビュー・累計1,340万ビュー・9か国で1位・88の国と地域でTOP10 — navicon / Netflix公式
  • 1週目の2位・11の国と地域で1位・86の国と地域でTOP10 — ORICON NEWS
  • 配信日(2025年11月13日)・全6話・キャスト — Netflix公式
  • Rotten Tomatoes 100%・北米の批評家賞ノミネート — 東洋経済オンライン
  • 上半期の日本語作品の順位・1億時間超えの本数・シリーズ8,195本の集中度(上位1本1.2%/10本6.7%/100本24.5%/1,000本68.1%) — Netflix「What We Watched」2026年上半期レポート(公開されているデータ一覧を当ブログで全数集計)

『エージェント・キム』『トングン』のビューは、当ブログの過去記事で扱った数字です。週が違うため、優劣の比較ではありません。同じ単位のものを並べただけです。


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