日本のヤンキーの恋リアが、韓国で4週連続TOP10に入っていた——『ラヴ上等』が示すアジアの流れの変化

Netflix日本の番組ランキングを見ていると、つい「今週の韓ドラは何位か」を探してしまいます。

けれど2026年8月10日〜16日の週、日本の1位は韓国ドラマではありませんでした。

『ラヴ上等』シーズン2。日本の恋愛リアリティです。しかも2週連続の1位でした(オリコン)。

そして、この作品の本当に驚くべき数字は、日本の順位ではありません。

シーズン1は、韓国のTOP10に4週連続で入っていた

『ラヴ上等』はMEGUMIがプロデュースする恋愛リアリティで、ヤンキーの若者たちが恋をする番組です。シーズン1は2025年12月に配信が始まりました。

4週連続
シーズン1が韓国の週間TOP10に入り続けた期間

その成績を並べます。

指標 シーズン1の成績
日本 週間TOP10(シリーズ) 4週連続1位
韓国 週間TOP10(シリーズ) 4週連続ランクイン
グローバルTOP10(非英語シリーズ) 3週連続TOP10入り
Global OTT Awards 2026(釜山) Best Reality & Variety 部門 最優秀賞

韓国のランキングに、日本のヤンキーの恋リアが4週間居座っていた

これは順番が逆です。私たちが慣れているのは、韓国で当たった作品が日本に来て、日本のランキングを埋める流れでした。10年間ずっとそうでした。

シーズン2も、初週から国境を越えている

シーズン2は2026年8月4日に配信開始。舞台は沖縄で、MCにMEGUMI・永野に加えてAwichが入り、主題歌はSPEEDの「Body & Soul」です(Netflix公式)。

配信初週(8月3日〜9日)の成績がこれです(オリコン)。

  • 日本 初登場1位
  • 香港・台湾でも 1位
  • グローバルTOP10(非英語)初登場4位

日本のローカルな番組が、初週から香港と台湾で1位を取っている。

ラヴ上等 シーズン2(Netflix公式)(公式ページ)

ただし、規模はまだ韓国ドラマと桁が違う

ここで浮かれないために、同じ週の3位を並べます。昨日書いた『恋は飴模様』です。

TOP10入りした国・地域の数

『ラヴ上等』シーズン2(日本1位)5の国・地域
『恋は飴模様』(日本3位)68の国・地域

1位を取った国・地域の数

『ラヴ上等』シーズン21の国・地域
『恋は飴模様』26の国・地域

日本で1位の作品が5か国。日本で3位の作品が68か国です。

まだ13倍以上の差がある。「韓国に追いついた」という話ではまったくない

日本の作品が国境を越え始めたのは事実です。ただ、越え始めた、というだけです。

なぜ『ラヴ上等』は越えられたのか

私は、組み合わせ方だと思っています。

要素 性質
ヤンキー 日本にしかない、極めてローカルな文化
恋愛リアリティ 世界中の視聴者が既にルールを知っているフォーマット

見たことのない中身を、見慣れた器に入れた。だから字幕で追える。文化の説明が要りません。

これは韓国が10年かけてやってきたことと、同じ構造です。財閥・軍隊・受験といった韓国固有の題材を、ラブコメやサスペンスという世界共通の器に入れて出してきた。『イカゲーム』も『愛の不時着』もそうです。

日本のコンテンツが弱かったのは、中身ではなく器の選び方だったのではないか

日本の作品は、日本の視聴者だけが知っている器(深夜ドラマの文法、漫画原作の前提知識)に入れて出すことが多かった。中身が弱かったのではなく、外から開けられない箱に入れていた。

中国はどうなのか(追記:数字が取れました)

この記事を出した時点では、中国ドラマの国際的な視聴数について信頼できる数字を確認できませんでした。 印象で「中国が伸びている」と書くことはできますが、それはこのブログでやらないと決めていることです。

その後、Netflixの公開データを全数集計したので、ここに足します。

言語 本数 視聴時間 1本あたり 平均総尺 全地域配信
韓国語 605本 80億790万時間 1,324万時間 13時間57分 43%
中国語圏 105本 10億5,600万時間 1,005万時間 20時間13分 30%
日本語 1,313本 51億3,190万時間 391万時間 7時間02分 16%
韓国語1324万時間
中国語圏1005万時間
日本語391万時間

1本あたり

中国語圏は105本しかないのに、1本あたりでは日本語の2.6倍です。韓国語にも迫っています。

しかも上位には食い込んでいます。上半期のシリーズ世界7位は中国の『逐玉』で、3億5,670万時間。総尺は30時間47分でした。

数字
『逐玉』の上半期視聴時間 3億5,670万時間(世界7位)
総尺 30時間47分
視聴数 1,160万

30時間47分というのは、いまの韓国ドラマの中央値(10時間41分)の約3倍です。短くする流れの逆を行って、世界7位に入っています。

中国は本数が少なく、尺が長く、1本あたりが厚い。韓国とも日本とも違う形で数字を出している

ただし断っておくと、中国語圏105本という数え方は、タイトルの文字種による当ブログの分類です。英題しか載っていない作品(全体の71%)は判別できないので、実際にはもっとある可能性があります。「105本しかないのに」という書き方は、そのぶん割り引いて読んでください。

まとめ

  • 2026年8月10日〜16日、Netflix日本の1位は韓国ドラマではなく『ラヴ上等』S2(2週連続)
  • シーズン1は韓国のTOP10に4週連続で入り、釜山のGlobal OTT Awardsで最優秀賞を獲った
  • シーズン2も初週で香港・台湾1位、グローバル非英語4位
  • ただし規模は韓国ドラマの13分の1以下。追いついてはいない
  • 越えられた理由は「ローカルな中身 × 世界共通の器」。韓国が10年やってきた型と同じ
  • 追記: 中国語圏は105本で1本あたり1,005万時間(日本語の2.6倍)。『逐玉』は総尺30時間47分で世界7位

数字の出典

「韓国から日本へ」の一方通行が、少しだけ双方向になり始めています。この流れが本物かどうかは、シーズン3が出たときに分かります。


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