前の記事で、韓国ドラマの視聴時間は日本語作品の1.6倍だと書きました。
今日はその数字を、自分で壊しにいきます。別の物差しで数え直すと、順位が入れ替わります。日本のほうがわずかに上でした。
Netflixは2つの数字を出している
上半期レポートには、作品ごとに2つの数字が並んでいます。
| 欄 | 意味 |
|---|---|
| Hours Viewed(視聴時間) | その作品が何時間見られたかの合計 |
| Views(視聴数) | 視聴時間 ÷ 作品の総尺 |
視聴数は、人数ではありません。「最後まで見た人が何人分いたか」に換算した数です。
本当にそうなっているか、確かめました。『鉄槌教師』の視聴時間5億1,470万時間を、総尺10時間41分(10.683時間)で割ると、4,818万。レポートの視聴数は4,820万です。
一致しました。 この2つの数字は独立していません。片方をもう片方で割ったものです。
視聴数=視聴時間÷総尺。だから尺が長い作品は、視聴時間で有利に出る
視聴数で並べ替えると1位が変わる
| 視聴数の順位 | 作品 | 視聴数 | 総尺 | 視聴時間の順位 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 彼の真実、彼女の嘘 | 1億400万 | 4:22 | 4位 |
| 2 | ブリジャートン家 S4 | 1億20万 | 8:53 | 1位 |
| 3 | I Will Find You | 6,390万 | 5:29 | 8位 |
| 4 | ストレンジャー・シングス5 | 5,560万 | 10:24 | 2位 |
| 5 | ランナウェイ | 5,030万 | 6:16 | 9位 |
| 6 | 鉄槌教師 | 4,820万 | 10:41 | 3位 |
| 7 | ONE PIECE シーズン2 | 4,730万 | 8:06 | 5位 |
| 8 | Man on Fire | 4,040万 | 5:33 | 19位 |
| 9 | Ms. Rachel シーズン1 | 3,730万 | 3:02 | 68位 |
1位が入れ替わります。『彼の真実、彼女の嘘』は視聴時間では4位でしたが、視聴数では1位です。総尺4時間22分と短いからです。
いちばん極端なのが9位の『Ms. Rachel』です。幼児向け番組で総尺3時間2分。視聴数では9位に入りますが、視聴時間では68位まで落ちます。
『鉄槌教師』は逆の動きをします。視聴数6位、視聴時間3位。尺が10時間41分と長いので、時間で数えると順位が上がる。
そして、韓国と日本の順位が入れ替わる
ここからが本題です。レポートの韓国語シリーズと日本語シリーズを、2つの物差しで比べました。
| 韓国語シリーズ | 日本語シリーズ | 差 | |
|---|---|---|---|
| 本数 | 605本 | 1,313本 | 日本が2.2倍 |
| 視聴時間 | 80億790万時間 | 51億3,190万時間 | 韓国が1.6倍 |
| 視聴数 | 7億380万 | 7億2,820万 | 日本が1.03倍 |
視聴数で数えると、日本のほうが多いという結果になります。
差はわずか3%なので「互角」と読むのが妥当です。ただ、視聴時間で1.6倍の差がついていた相手に、物差しを変えただけで並ぶ。ここは押さえておく価値があります。
差が生まれていたのは、韓国のほうが尺が長いからでした。韓国語シリーズの平均総尺は13時間57分、日本語は7時間02分。ちょうど2倍です。
では「韓国が強い」は嘘だったのか
嘘ではありません。ただ、強さの中身が変わります。
私の読み方はこうです。
「見はじめた回数」でいえば、韓国と日本は互角(むしろ日本がわずかに上)。「見はじめてから使われた時間」でいえば、韓国が1.6倍。
つまり韓国作品は、1回の出会いあたりで長く時間を取っている。日本作品は、同じ回数だけ手に取られているが、1回が短い。
そしてこれは、日本語作品の中身がアニメの旧作に寄っていることと無関係ではないと思います。1話24分のアニメを1シーズン見るのと、1話70分の韓国ドラマを12話見るのでは、積み上がる時間が違います。
どちらの数字を使うべきか
Netflix自身は、公式のTOP10ランキングに視聴数を使っています。長い作品が有利になりすぎないようにするためです。
一方でニュース記事は、たいてい視聴時間の数字を引用します。「◯億時間見られた」のほうが見出しになるからです。
私の考えでは、こうです。
| 知りたいこと | 見るべき数字 |
|---|---|
| どれだけの人に届いたか | 視聴数 |
| プラットフォームをどれだけ支えたか | 視聴時間 |
| 1人あたりどれだけ長く付き合ったか | 総尺 |
そして、この3つを混ぜて話している記事はだいたい信用しないほうがいいです。「1位」と書いてあったら、何で数えた1位なのかを先に見ます。
まとめ
- Netflixのレポートには視聴時間と視聴数の2つがあり、視聴数=視聴時間÷総尺
- 実際に『鉄槌教師』で割ってみると、レポートの視聴数と一致する
- 視聴数で並べると1位は『彼の真実、彼女の嘘』(1億400万)に変わる
- 『Ms. Rachel』は視聴数9位・視聴時間68位。総尺3時間2分の差が出る
- 視聴数では日本語シリーズのほうが多い(7億2,820万 対 韓国7億380万。差は3%)
- 視聴時間で1.6倍の差がつくのは、韓国のほうが尺が2倍長いから
- 「1位」を見たら、何で数えた1位かを先に確認する
次は、この表のもうひとつの欄を見ます。Netflixで見られている作品の半分近くは、Netflixが作った作品ではありませんでした。
数字の出典
この記事の数字は、Netflixが公表した半期レポート 「2026年上半期に見られた作品」 に添付されているデータを、1本ずつ全数集計したものです。
- 集計対象: シリーズ8,195本/映画9,179本(2026年1月〜6月)
- 合計は976億6,000万時間。公式発表の「97 billion hours 超」と一致します
順位や合計は公式発表そのままではなく、この一次データを自分で数え直した結果です。
総帥(そうすい)のHP 

[…] 視聴数で数え直すと、Netflixの日本は韓国と互角だった——1.6倍の差の正体は「尺」 […]