Netflix公式の上半期レポートを数えていて、韓国映画の欄で手が止まりました。
韓国映画458本の合計が4億8,900万時間。その44%にあたる2億1,730万時間を、たった1本の作品が稼いでいます。
しかもその作品は、韓国映画ではありません。『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』です。
数字を置く
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 視聴時間(2026年上半期) | 2億1,730万時間 |
| 視聴数(同) | 1億3,040万 |
| 映画全体の順位 | 4位 |
| 尺 | 1時間40分 |
| 配信開始 | 2025年6月20日 |
配信は1年以上前です。 それでも2026年上半期の映画で4位に入っています。
上位3本(『ウォー・マシーン』『Rip/リップ』『猛襲』)はいずれも2026年の新作です。その中に、1年前の作品が混ざっている。
1年前の映画が、今年の新作3本のすぐ後ろにいる
この作品は何なのか
ソニー・ピクチャーズ・アニメーション製作のアニメ映画です。架空のK-POPガールズグループが、音楽の力で悪魔と戦います。
配信からの成績を並べます(Netflix公式)。
| 項目 | 実績 |
|---|---|
| 累計視聴数 | 6億超(Netflix史上最も見られた映画) |
| TOP10入り | 52週連続 |
| アカデミー賞 | 2026年 長編アニメ映画賞・主題歌賞 |
| 主題歌「Golden」 | ビルボードHot100で8週1位 |
| 続編 | 2029年配信予定 |
ここが本題です
この作品は、韓国が題材で、韓国の音楽で、韓国の文化を描いていますが、韓国語作品ではありません。
製作はアメリカのスタジオ。言語は英語。レポートの分類でも、原題にハングルは併記されていません。
つまり、こういうことが起きています。
| 視聴時間(2026年上半期) | |
|---|---|
| 韓国映画458本の合計 | 4億8,900万時間 |
| 『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』1本 | 2億1,730万時間 |
韓国映画を458本集めても、この1本の2.3倍にしかなりません。
「韓国コンテンツ」の定義が変わっている
ここまでの記事で、私はずっと「韓国語作品」を数えてきました。605本で80億時間、上位100本に18本、という具合に。
その数え方だと、この作品は1本も入りません。英語作品だからです。
けれど実際には、この作品は韓国の文化を世界に届ける装置として、どの韓国映画よりも大きく働いています。K-POPのグループが、韓国の民間伝承が、韓国語の楽曲が、6億回分の視聴に乗って世界に出た。
主題歌「Golden」がビルボードで8週1位を取ったことのほうが、韓国映画1本の興行より影響が大きい、という見方もできます。
韓国が見つけた3つ目の道
整理すると、韓国コンテンツが世界に出る道は、いま3本あります。
| 道 | 例 | 言語 | 製作 |
|---|---|---|---|
| 1. 韓国語でそのまま出す | 鉄槌教師(5億1,470万時間) | 韓国語 | 韓国 |
| 2. 他国にリメイクさせる | ウ・ヨンウ弁護士は天才肌の日本版 | 各国語 | 各国 |
| 3. 題材だけ持ち出す | KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ | 英語 | 米国 |
1つめは、これまで韓国が積み上げてきた道です。中身も言語もそのまま出して、字幕で届ける。
2つめは、以前の記事で書いたリメイクの流れです。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が芦田愛菜主演で日本版になる、という形。
3つめが新しい。 韓国は関わっていなくても、韓国の題材が世界最大のヒットになる。これは韓国が「コンテンツの輸出国」から「題材の供給国」に変わりつつあることを意味していると思います。
日本はどうか
同じことは日本にも起きています。実写版『ONE PIECE』シーズン2が、上半期の全シリーズで5位(3億8,350万時間)でした。
これも英語作品で、製作はアメリカです。日本語作品としては数えていません。
日本語シリーズ1,313本の最高位は107位でしたが、日本の題材で作られた英語シリーズは5位にいる。 韓国とまったく同じ形です。
数え方を「言語」から「題材」に変えると、日本も韓国も、いまの数字よりずっと大きな位置にいます。
まとめ
- 『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』は上半期2億1,730万時間で映画4位。配信は1年前
- 累計6億視聴でNetflix史上最も見られた映画。52週連続TOP10、アカデミー賞2部門
- 韓国映画458本の合計(4億8,900万時間)の44%を、この1本が占めている
- ただし製作はアメリカ、言語は英語。韓国語作品としては1本も数えられない
- 韓国が世界に出る道は3本になった。①韓国語のまま ②リメイクさせる ③題材だけ持ち出す
- 日本も同じ。実写版『ONE PIECE』S2は英語作品で全シリーズ5位
次は逆に、韓国語のまま出した作品がどれだけ長く生きるかを見ます。『愛の不時着』は7年近く前の作品ですが、今も数字を出しています。
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