韓国作品は5年で210本がNetflix世界TOP10に入った——2026年の新作は33本、それが「層の厚さ」の正体

ここ2本の記事で、『エージェント・キム:リアクティベーティッド』と『トングン -呪いの宮-』の数字を見てきました。1本は4週間で視聴数が45%落ち、もう1本は届く国が1週間で27から69に増えていました。

作品ごとに動きはばらばらです。それでも、韓国ドラマ全体としてはTOP10の枠が埋まり続けています。

なぜそうなるのか。今回は作品ごとの浮き沈みではなく、送り出している側の数字を見ます。Netflixが自分で発表しているものがあります。

過去5年で、210本以上の韓国作品がグローバルTOP10に入っています。

210本以上
過去5年でNetflixのグローバルTOP10に入った韓国作品の数

5年で210本が意味すること

割ってみます。

210本 ÷ 5年 = 年42本

42本 ÷ 52週 = 週0.8本

つまり、ほぼ毎週1本のペースで、新しい韓国作品がグローバルTOP10に入り続けている計算になります。

これが「層の厚さ」の中身です。前々回の記事で見たとおり、1本の作品は世界1位を取っても4週間で視聴数が45%落ちます。それでもTOP10の半分が韓国作品で埋まっているのは、落ちた分を次が埋めているからです。

1本が4週で半減しても、毎週0.8本の新作が入ってくれば、枠は埋まり続ける

2026年の新作は33本

供給の側も見ます。Netflixは2026年1月21日、その年に出す韓国作品として33本を発表しました。シリーズと映画の合計です。

作品 主な出演・監督
Boyfriend on Demand ジス(BLACKPINK)
The Wonderfools パク・ウンビン、チャ・ウヌ
The Scandal ソン・イェジン、チ・チャンウク
The East Palace(トングン-呪いの宮-) ナム・ジュヒョク
Possible Love イ・チャンドン監督
Singles Inferno / Culinary Class Wars いずれも続編

ジャンルは恋愛・アクション・スリラー・コメディ・非脚本もの(リアリティ)に散らばっています。1つの型に賭けていません。

そして、この表の4行目に注目してください。前回の記事で扱った『トングン-呪いの宮-』です。1月に発表されたラインナップの1本が、7月に世界2位になっています。

思いつきの当たりではありません。年初に並べた33本のうちの1本です。

33本と42本を並べる

ここで2つの数字が並びます。

数 意味
年間の新作(2026年) 33本 出す側の数
年間のTOP10入り(5年平均) 42本 当たった数

新作33本に対して、TOP10入りが年42本。新作より多いのは、旧作が入り続けているからです。

なお、この33本は年初に発表された予定の数です。別の記事で「2026年上半期にNetflixが出した韓国の新作は20本」と書きましたが、こちらは上半期のエンゲージメントレポートに載った実績で、数え方が違います。上半期で20本なら、通年33本の予定とつじつまは合います。

前に書いたとおり、『愛の不時着』は配信から6年8か月たった2026年上半期でも7,530万時間見られています。2023年以前に配信された韓国語シリーズ148本が、韓国語シリーズの視聴時間の22.6%を稼いでいます。新作が毎年積み増され、そのうえで旧作が残る。在庫が減らない構造です。

2026年の新作33本
年間TOP10入り(5年平均)42本

真似しにくいのは、当たりではなく体制

まとめます。

  • 1本の作品は、世界1位でも4週間で視聴数が45%落ちる
  • それでも週0.8本のペースでTOP10入りが続いている
  • 供給側は年33本を年初に並べ、ジャンルを分散させている
  • 旧作は消えず、積み上がっていく

「韓国ドラマが強い」と言うとき、たいてい『イカゲーム』のような特大の1本が思い浮かびます。でも数字が示しているのは別のことです。

特大の1本は、運と話題性に左右されます。年33本を出し続け、5年で210本をTOP10に送り込む体制のほうが、真似するのは難しい。

「では本数を増やせば日本も勝てるのか」への答え

ここでいちばん危ない誤読を潰しておきます。「出し続ける体制が強いなら、本数を増やせばいい」——そうはなりません。

日本はすでに、韓国より多く作っています。

本数 視聴時間 1本あたり 全地域配信
日本語シリーズ 1,313本 51億3,190万時間 391万時間 16%
韓国語シリーズ 605本 80億790万時間 1,324万時間 43%

本数は日本が2.2倍。それでも視聴時間は韓国が1.6倍、1本あたりでは3.4倍です。

韓国語1324万時間
日本語391万時間

1本あたり

つまり「出し続ける体制」は、本数のことだけではありません。 分解すると3つあります。

要素 韓国 日本
本数 605本 1,313本(日本が多い)
世界の棚に出す割合 43% 16%
1本あたりの厚み 1,324万時間 391万時間

日本が勝っているのは1行目だけです。本数はもう足りている。 足りていないのは、その本を世界の棚に置くことと、1本を厚くすることのほうです。

「出し続ける体制」=本数ではない。本数 × 世界に出す割合 × 1本あたりの厚み

それでも、当たりの大きさに期待しすぎないこと

もう1つ。年42本のTOP10入りは、全体から見ればごく一部です。

上半期のシリーズ8,195本を視聴時間順に並べると、上位10本を全部足しても全体の6.7%にしかなりません。半分に届くには500本必要でした。

TOP10という枠は目立ちますが、配信サービスを支えているのはその外側の何千本です。だから韓国の強さも、「TOP10に210本送り込んだこと」より、605本を棚に積んで1本あたり1,324万時間を出していることのほうが本体だと思っています。

あなたが今年見た韓国ドラマのうち、TOP10で話題になっていた作品は何本ありましたか。 たぶん、そうでない作品のほうが多かったはずです。

強さの正体は「当てる力」ではなく「出し続ける体制」

数字の出典

  • 過去5年で210本以上がグローバルTOP10入り/2026年の韓国作品33本の発表(2026年1月21日)と出演者 — The Hollywood Reporter / Deadline
  • 旧作の視聴時間・構成比、言語別の本数・視聴時間・1本あたり・全地域配信の割合、集中度(上位10本6.7%) — Netflix「What We Watched」2026年上半期レポート(公開されているデータ一覧を当ブログで全数集計)

年42本・週0.8本は、210本を5年・52週で割ってこちらで出した数字です。Netflixが発表した値ではありません。


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