『愛の不時着』が今も7,530万時間——韓国ドラマの旧作148本が、全体の22.6%を稼いでいる

『愛の不時着』がNetflixで配信されたのは、2019年12月14日です。

6年8か月前の作品が、2026年上半期に7,530万時間見られています。 全シリーズ8,195本のうち139位。

新作でこの数字を出せる韓国ドラマは、年に数本しかありません。

2023年以前の韓国ドラマ、上位10本

Netflix公式レポートから、2023年以前に配信が始まった韓国語シリーズだけを抜き出しました。

全体順位 作品 配信開始 視聴時間
60 ブラッドハウンド シーズン1 2023年6月 1億2,290万時間
120 キング・ザ・ランド 2023年6月 8,120万時間
139 愛の不時着 2019年12月 7,530万時間
155 今、私たちの学校は… 2022年1月 7,040万時間
183 社内お見合い 2022年2月 6,420万時間
236 還魂 パート1 2022年6月 5,620万時間
266 海街チャチャチャ 2021年8月 5,170万時間
302 ザ・グローリー シーズン1 2022年12月 4,710万時間
358 ウ・ヨンウ弁護士は天才肌 2022年6月 4,200万時間
464 ヴィンチェンツォ 2021年2月 3,530万時間

『愛の不時着』は、この上半期に配信された日本の実写ドラマの最上位(『地獄に堕ちるわよ』7,910万時間)とほぼ同じ数字を出しています。

6年8か月前の作品と、4か月前の新作が、ほぼ並んでいる。

『愛の不時着』7,530万時間は、今年の日本の話題作とほぼ同じ規模

旧作が全体の22.6%を稼いでいる

1本ずつではなく、まとめて見ます。

本数 視聴時間 韓国語全体に占める割合
2023年以前の配信 148本 18億900万時間 22.6%
2024年以降の配信+公開日なし 457本 62億時間 77.4%
2023年以前の148本22.6%(韓国語シリーズの視聴時間)
2024年以降ほか457本77.4%(韓国語シリーズの視聴時間)

148本の旧作が、韓国語シリーズの視聴時間の4分の1近くを稼いでいます。

これは韓国コンテンツの「資産」の話です。毎年20本の新作を出す一方で、過去に出した148本が今も動いている。新作を出さない年があっても、いきなりゼロにはならない。

生き残っている作品に共通するもの

上の10本を眺めていて、気づいたことが2つあります。

1つめ。全部が「1シーズンで話が終わっている」。

『愛の不時着』も『社内お見合い』も『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』も、1シーズンで完結します。続きを待つ必要がない。

以前の記事で、韓国のリミテッドシリーズは1本あたり2.8倍見られていると書きました。この効果は、時間が経つほど大きくなるのだと思います。5年前の作品を「シーズン1から追ってください」と勧めるのは、新作でそれをやるより難しいからです。

2つめ。尺が長い。

作品 総尺
ヴィンチェンツォ 27時間00分
還魂 パート1 24時間52分
愛の不時着 22時間28分
海街チャチャチャ 20時間52分
キング・ザ・ランド 19時間00分
ウ・ヨンウ弁護士は天才肌 18時間47分

平均で20時間を超えています。今年の新作の中央値は10時間41分でした。旧作は、いまの倍の長さで作られていた世代です。

尺が長いぶん、1人が見はじめると積み上がる時間も大きくなる。旧作が数字を出しやすい理由の一部は、ここにあります。

「短くする」の代償はここに出るかもしれない

ここからは推測です。

前の記事で、韓国ドラマの尺が2019年の16時間49分から2026年の10時間41分へ、36%縮んだと書きました。世界の棚では、そのほうが入口が低いからです。

ただ、旧作の一覧を見ると、長い作品のほうが長く生きているように見えます。

理由は2つ考えられます。1つは、単純に1回あたりの視聴時間が大きいこと。もう1つは、20時間かけて見た作品のほうが、人に勧めたくなること。

もし後者が効いているなら、いま作っている10時間の作品は、5年後に『愛の不時着』ほどの数字を残さないかもしれません。

短くしたことの効果は初週に出て、代償は5年後に出る。 これは数字で確かめられる仮説なので、2029年か2030年のレポートで答え合わせをするつもりです。

数字の断り

  • 「2023年以前」はNetflixで配信が始まった年です。制作年ではありません
  • 公開日の欄が空の作品(Netflixが自社作品として出していないもの)は、この148本に入れていません。だから実際の旧作の比率はもっと高いはずです
  • 『愛の不時着』はtvNの放送作品ですが、レポートには2019年12月14日の公開日が入っています

まとめ

  • 『愛の不時着』は配信から6年8か月経って、上半期7,530万時間で全体139位
  • これは今年の日本の話題作『地獄に堕ちるわよ』(7,910万時間)とほぼ同じ規模
  • 2023年以前配信の韓国語シリーズ148本が、韓国語全体の22.6%(18億900万時間)を稼いでいる
  • 生き残っている作品は、①1シーズンで完結 ②尺が20時間前後、という共通点がある
  • 今年の新作の中央値は10時間41分。旧作は倍の長さで作られた世代
  • 尺を短くした効果は初週に出て、代償があるとすれば5年後に出る。答え合わせは次の次のレポートで

次は、その代表格を1本だけ取り出します。『イカゲーム』は、いまでもシーズン1が一番見られています。

数字の出典

この記事の数字は、Netflixが公表した半期レポート 「2026年上半期に見られた作品」 に添付されているデータを、1本ずつ全数集計したものです。

  • 集計対象: シリーズ8,195本/映画9,179本(2026年1月〜6月)
  • 合計は976億6,000万時間。公式発表の「97 billion hours 超」と一致します

順位や合計は公式発表そのままではなく、この一次データを自分で数え直した結果です。


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