『大洪水』は映画で33位。それでも韓国映画の合計はドラマの16分の1だった

ここまで韓国ドラマの強さを数字で見てきました。上半期の世界3位、上位100本に18本。

今日は逆を見ます。同じ韓国が、映画ではどうなっているか。

結論から書きます。韓国映画458本の合計視聴時間は4億8,900万時間。韓国ドラマ605本の80億800万時間に対して、16分の1でした。

上半期の韓国映画 上位

映画全体の順位 作品 視聴時間 尺
33 大洪水 5,000万時間 1:49
41 Humint(휴민트) 4,530万時間 1:59
54 今夜、世界からこの恋が消えても 3,660万時間 1:46
136 남편들(Husbands in Action) 2,290万時間 1:49
252 고백의 역사(Love Untangled) 1,640万時間 2:01

最上位の『大洪水』で、映画全体の33位です。ドラマの最上位が全体3位だったことと比べると、ずいぶん違う位置にいます。

『大洪水』はキム・ダミ主演、パク・ヘス共演、キム・ビョンウ監督のSFパニック映画。南極の氷床崩壊で都市が水没するなかで、母親が息子を残して人類存続の計画に加わるかを迫られる話です。2025年12月19日配信(映画.com)。

韓国ドラマの最上位は世界3位。韓国映画の最上位は映画全体で33位

16倍の差は、本当に「弱い」ということか

ここで手を止めます。この16.4倍という差は、映画が弱いことを意味していません。

理由は尺です。前の記事で書いたとおり、視聴時間は「視聴数×尺」で決まります。

平均の尺
韓国語シリーズ 13時間57分
韓国映画 約1時間50分

尺だけで7.6倍の差があります。 同じ人数が見ても、積み上がる時間は7.6倍違う。

そこで視聴数で数え直しました。

視聴時間 視聴数
韓国語シリーズ(605本) 80億800万時間 7億380万
韓国映画(458本) 4億8,900万時間 2億7,310万
差 16.4倍 2.6倍
韓国シリーズ7.04億
韓国映画2.73億

視聴数

視聴数で見れば2.6倍差です。 16倍ではありません。

『大洪水』の視聴数は2,750万。これは韓国ドラマ2位『恋の通訳、できますか?』の2,860万とほぼ同じです。人数でいえば、韓国映画のトップは韓国ドラマのトップと肩を並べています。

それでも、Netflixにとって映画は「割に合わない」

ただし、Netflixの立場から見ると話が変わります。

Netflix全体で、シリーズと映画の視聴時間はこうなっています。

視聴時間
全シリーズ(8,195本) 743億5,000万時間
全映画(9,179本) 233億1,000万時間
比 3.19倍

Netflix全体では3.19倍。韓国は16.4倍です。

韓国は、Netflix全体の平均より5倍もドラマに偏っています。

そしてNetflixは、契約者に長く滞在してもらうことでサービスを維持しています。2時間で終わる映画より、14時間の連続ドラマのほうが、その目的には直接効きます。

だからNetflixが韓国に投資するとき、主戦場がドラマになるのは自然でした。韓国映画が弱いのではなく、Netflixがドラマを求めているということだと思います。

韓国映画で世界配信されているのは12%

もうひとつ数字を置きます。

本数 世界配信
韓国語シリーズ 605本 258本(43%)
韓国映画 458本 54本(12%)

韓国映画458本のうち、世界の棚に並んでいるのは54本だけです。残りは韓国国内や一部の地域だけの配信。

『パラサイト 半地下の家族』が450万時間、『新感染 ファイナル・エクスプレス』が570万時間にとどまるのは、作品の力ではなく置かれている棚の広さの問題でした。

3位の作品に注目したい

上位表の3番目、『今夜、世界からこの恋が消えても』(3,660万時間・映画全体54位)は、少し変わった立ち位置にあります。

これは日本の小説(一条岬)を韓国が映画化した作品です。日本版は2022年に道枝駿佑・福本莉子で公開されています。韓国版はチュ・ヨンウとシン・シアが演じ、舞台は神奈川県藤沢市から韓国の麗水(ヨス)に移されました(リアルサウンド)。

日本の原作が、韓国の製作で、Netflixの世界の棚に乗って3,660万時間。

前の記事で「日本の実写は世界の棚に乗る本数が少ない」と書きました。ここでは、日本の原作だけが世界に出ている形になっています。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の日本リメイクと、ちょうど逆向きの流れです。中身の行き来は、思っている以上に双方向で起きています。

まとめ

  • 韓国映画458本の視聴時間は4億8,900万時間。韓国ドラマの16.4分の1
  • ただしこれは尺の差が大きい。視聴数で数えると2.6倍差まで縮む
  • 『大洪水』の視聴数2,750万は、韓国ドラマ2位の『恋の通訳、できますか?』とほぼ同じ
  • Netflix全体のシリーズ/映画比は3.19倍。韓国は16.4倍で、平均の5倍ドラマに偏っている
  • 韓国映画で世界配信されているのは12%(54本/458本)だけ
  • 『今夜、世界からこの恋が消えても』は日本の小説を韓国が映画化したもの。原作が日本、製作が韓国、棚が世界という形

次は、この表全体の形を見ます。上位10本が全体の何%を占めているのか、という話です。


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