『スキャンダル』は3週目に7か国になった——「アジアで深く見られる型」という見立ては外れた

10月6日に、ソン・イェジンとチ・チャンウクの『スキャンダル』について書きました。配信2週目に世界の非英語シリーズで3位。ただ、TOP10に入った国は18か国だけで、そのうち13か国がアジアだった、という記事です。

その最後に、こう書いていました。「アジアの外が増えなければ、この作品はアジアで深く見られる型だと言える」。

3週目の数字が出ました。結果を先に書きます。

7か国
『スキャンダル』が配信3週目にTOP10に残った国の数(2週目は18か国)

アジアの外は5か国から0か国になりました。それだけではありません。アジアの中でも、13か国から7か国に減っていました。「アジアで深く見られる型」という私の見立ては、半分外れです。今日はその外れ方を、数字で確かめます。

3週間の数字を並べる

Netflixは毎週、前の週(月曜〜日曜)の世界TOP10と、国ごとのTOP10を公表しています。誰でもダウンロードできるデータから、『スキャンダル』の行を抜き出しました。

週 世界順位(非英語シリーズ) 視聴数 TOP10入りした国 うちアジア 1位の国
9/14〜9/20(配信3日分) 7位 190万 10か国 9か国 1か国
9/21〜9/27 3位 280万 18か国 13か国 3か国
9/28〜10/4 圏外 140万未満 7か国 7か国 0か国

3週目は、世界の非英語シリーズTOP10から外れました。その週の10位は視聴数140万です。『スキャンダル』はそれより下だった、ということになります。前の週の280万から、半分以下に落ちたことになります。

『スキャンダル』がTOP10に入った国の数
1週目: 10か国10か国1週目2週目: 18か国18か国2週目3週目: 7か国7か国3週目

1週目 10か国 / 2週目 18か国 / 3週目 7か国

3週目に残った7か国と順位はこうです。韓国3位、ベトナム3位、インドネシア4位、香港6位、シンガポール6位、台湾6位、タイ7位。2週目に1位だったインドネシア・シンガポール・ベトナムでも、もう1位ではありません。

日本は、2週目の3位からTOP10圏外になりました。マレーシアとフィリピンも外れています。

今年のヒット作は、3週目もアジア全部に残っていた

この落ち方が普通なのかどうか。10月6日の記事と同じ3本、今年上半期に世界で当たった韓国のリミテッドシリーズと比べました。今回は2週目から3週目に何か国残ったかを見ます。

作品 2週目の国数 3週目の国数 残った割合 3週目のアジア(14か国中)
鉄槌教師 91か国 85か国 93% 14か国
エージェント・キム 79か国 72か国 91% 14か国
恋の通訳、できますか? 60か国 43か国 72% 14か国
スキャンダル 18か国 7か国 39% 7か国
鉄槌教師93%
エージェント・キム91%
恋の通訳、できますか?72%
スキャンダル39%

2週目の国のうち3週目も残った割合

3本とも、3週目にアジア14か国すべてに残っていました。世界での順位も3本とも1位のままです。

『スキャンダル』は、そのアジアで半分に減りました。

今年のヒット作は「アジアで当たって、外へ広がる」。『スキャンダル』は「アジアで当たって、アジアでも続かなかった」

私の見立ては、どこが外れたのか

10月6日の記事では、「18か国なら失敗作ではない。広く当たる作品と、深く当たる作品がある」と書きました。

「深く」には2つの意味があります。

  • 強さ: 入った国で、どれだけ上の順位にいるか
  • 長さ: 入った国に、何週続けて残るか

2週目のアジアでの強さは本物でした。3か国で1位、5か国で2位です。ここは外れていません。

外れたのは長さです。私は、アジアで上位に入れば、そこには長く残るものだと思い込んでいました。3週目の数字は、その思い込みを否定しています。上位に入ることと、残り続けることは別のことでした。

正直に言うと、数字を開くまでは「アジアの外が増えたかどうか」しか見るつもりがありませんでした。アジアの国の数は、変わらないものだと決めつけていたからです。日本が圏外になっているのを見て、初めて自分の前提に気づきました。

なぜ続かなかったのか(ここから先は私の見立てです)

ここからは数字ではなく見立てです。Netflixは国ごとの視聴時間を出していないので、理由はデータからは確かめられません。2つの可能性を考えます。

1つめは、全8話・7時間46分という短さです。 一気に配信された短い作品は、見たい人が最初の10日ほどで見終わります。総尺が10時間41分の『鉄槌教師』や13時間11分の『恋の通訳、できますか?』と比べると、1人が見る時間が短く、山が早く終わります。ただ、これだけでは説明が足りません。同じ週の『ダウンタイム』(英題 Plastic Beauty)は総尺9時間10分ありますが、やはり3週目に4割しか国が残っていません。短さは理由の一部でしかありません。

2つめは、新しく見始める人が続かなかったことです。 2週目までの視聴者は、ソン・イェジンとチ・チャンウクの名前、2003年の映画を覚えている人、つまり最初から見るつもりだった人が中心だったのだと思います。その人たちが見終わったあと、「面白かったから見て」と勧められて見始める人の波が、大きくは来なかった。名前で集まる視聴者は、最初の2週間に集中しやすいからです。

『鉄槌教師』が3週目も85か国に残ったのは、俳優を知らない人が口コミで次々に入ってきたからだと私は考えています。ここが、2つの作品のいちばん大きな違いに見えます。

同じ週に起きていたこと

3週目の世界1位は『Not a Stranger』(英題)でした。2週目に80か国、3週目も62か国に残っていて、そのうちアジアは2週目でわずか2か国です。『スキャンダル』とはちょうど逆の、アジアの外で広く当たる作品です。

日本で同じ時期に配信された『ダウンタイム』も比べておきます。2週目29か国から3週目11か国で、残ったのは38%。『スキャンダル』とほぼ同じ割合です。ただし日本では3週目も1位を続けていました。『スキャンダル』は本国の韓国で3位に残りましたが、1位ではありません。3週目の韓国1位はバラエティ番組(英題 Kian’s Bizarre B&B)でした。

同じ「2週目が山で、3週目に4割しか残らない」作品でも、地元で1位を守ったかどうかに違いがあります。

「外れた」と書く理由

見立てが外れたことを、わざわざ記事にする必要はないかもしれません。それでも書くのは、このブログが毎週の数字を後から確かめられる形で置く場所だからです。

当たった予想だけを残すと、読む側には「この人の見立てはいつも当たる」と見えてしまいます。それは事実と違います。外れた回を残しておけば、次に私が「この作品は残る」と書いたとき、それをどこまで信じるかを読む人が決められます。

今回わかったことを、次の作品を見るときの物差しにします。

  • 2週目の国の数で、広がりを見る
  • 3週目の残った割合で、口コミが続いているかを見る
  • 3週目のアジアの国の数で、地元で続いているかを見る(今年のヒット作は14か国すべてに残っていた)

みなさんは『スキャンダル』を最後まで見ましたか。見終わったあと、誰かに勧めましたか。2週目に見ていた人がどう感じたのか、コメントで教えてもらえると、この「続かなかった理由」の答え合わせになります。

まとめ

  • 『スキャンダル』は配信3週目に、世界の非英語シリーズTOP10から外れた。TOP10入りした国は18か国から7か国に減った
  • アジアの外は5か国から0か国になった。それだけでなく、アジアの中でも13か国から7か国になった。日本は3位から圏外
  • 今年の韓国ヒット作3本は、3週目にもアジア14か国すべてに残り、世界1位を続けていた
  • 「アジアで深く見られる型」という10月6日の見立ては、強さは当たり、長さは外れ
  • 理由の見立ては、短い一気見配信で山が早く来たことと、名前で集まった視聴者のあとに口コミの波が続かなかったこと
  • 次からは「2週目の国の数・3週目に残った割合・3週目のアジアの国の数」の3つで作品を見る

数字の出典

「アジア14か国」は、10月6日の記事と同じ数え方です(日本・韓国・台湾・香港・シンガポール・マレーシア・インドネシア・タイ・ベトナム・フィリピン・インド・パキスタン・バングラデシュ・スリランカ)。残った割合は、上の表の国の数からこちらで割って出しました。

Netflix 週間TOP10(公式)(公式ページ)


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